衣装紹介【和装編】

公開日：2025年3月7日（金）

この着物は「色打掛（いろうちかけ）」と呼ばれる婚礼衣装のひとつで、淡いベージュを基調とした上品なデザインが特徴です。色打掛は、白無垢と並ぶ格式高い装いであり、江戸時代には大名家の女性や武家の正装として着用されていました。現代では、結婚式の披露宴や前撮りなどでよく用いられ、華やかでありながら落ち着いた雰囲気を演出できるのが魅力です。

この色打掛の特徴は、柔らかな色合いの地に、四季折々の花々が美しく刺繍されている点です。牡丹、桜、菊、梅など、日本の伝統的な花々が彩り豊かに描かれ、花嫁を優雅に包み込むデザインとなっています。刺繍には金糸や銀糸が用いられ、光の加減によって繊細な輝きを放つため、見る角度によって異なる表情を楽しむことができます。これにより、格式のある場面でも上品な華やかさを表現することが可能です。

袖や裾の裏地には淡い水色があしらわれており、動くたびに優雅な印象を与えます。白無垢とは異なり、色打掛は鮮やかな色や刺繍が特徴ですが、この一着は派手すぎず、上品な色合いが洗練された美しさを引き立てています。そのため、格式を重んじながらも、落ち着いた雰囲気の婚礼衣装を求める方に適しています。

胸元には「懐剣（かいけん）」と「筥迫（はこせこ）」が添えられており、これらの小物も花嫁衣装の伝統的な要素の一つです。懐剣は武家の女性が護身用に持っていた短刀を象徴し、筥迫は江戸時代の女性が化粧道具や手紙を入れていた小物入れです。さらに、紫色の房飾りがアクセントとなり、全体の調和を美しく整えています。

色打掛は、格式と華やかさを兼ね備えた婚礼衣装であり、白無垢とは異なる優雅な雰囲気を演出できる点が特徴です。この着物は、伝統的な和の美しさを活かしながらも、落ち着いた色合いと繊細な刺繍によって、洗練された印象を与える一着となっています。日本の四季を感じさせる花々のデザインが、花嫁の美しさを引き立て、特別な日の装いとしてふさわしい仕上がりとなっています。