静けさ。
和装の美しさは、柄や色だけでなく「余白」にあります。着物は、体の線をはっきりと出さず、直線的な形で人の動きを包み込みます。そのため、動くたびに布と体の間に空間が生まれ、所作までもが美しく見えるように作られています。これが、日本人が古くから大切にしてきた「間(ま)」の感覚です。
たとえば歩く、立つ、振り返る。ほんの小さな動きでも、袖や裾が遅れてついてくることで、時間にゆとりが生まれます。急がず、慌てず、丁寧に生きる。その価値観が、着物の構造そのものに表れています。
また、和装は全身で主張しません。柄は前面に出しすぎず、背中や内側に美しさを忍ばせる。すぐに気づかれなくてもいい、分かる人にだけ伝わればいいという奥ゆかしさがあります。
和装は、身にまとうことで心の動きまで整えてくれる装い。写真に残すと、華やかさ以上に、その人らしい「静けさ」が写し出されます。

















